脳梗塞治療のために入院している患者さんがベッド付近で転倒して転落し、その後「ワーファリン」という薬の使用を中止して脳梗塞を発症し亡くなるということがありました。
この事例については、いろいろな争点で裁判が行われました。
常時24時間体制による監視を行う義務、患者の動静に注意する義務、身体拘束の義務、ベッドを床と同じ程度に低くする義務、床へマットクッションを敷く義務といったことが問題になりました。
こういったときには、看護師のためのトラブルと法的知識が大切です。
看護師のためのトラブルと法的知識
裁判では、24時間体制の監視義務については適切な監視体制を取っていて過失なしとなりました。
身体の拘束義務については、身体的弊害や精神的苦痛を与えることなどを考え合わせたときに、法律上の義務があったとはいえないと判断されました。
ベッドの高さを低くすることに関しても、構造上床との段差が生じることは避けがたいなどの理由で過失責任はないと判断されました。
そして床にマットクッションを敷くことは、逆に危ない面もあるということで過失が問われませんでした。
ただ、動静については患者の様子から考えて、もっと頻繁に見るべきとの判断でした。
裁判では因果関係なしという判断になったのですが、適切な看護を受けられると考えている患者さんの期待を裏切ったことについては、今でも思い悩んでいます。